旅好き絵本屋の「えほんのあるせいかつ」 -1010ページ目

☆ いたずらきかんしゃちゅうちゅう

バージニア・リー・バートン, むらおか はなこ
いたずらきかんしゃちゅうちゅう

その名の通り、いたずらなきかんしゃのちゅうちゅうの物語です。

あるひ、ちゅうちゅうは かんがえました。

「わたしは、 もう、 あの おもい きゃくしゃ なんか ひくのは ごめんだ。」

そして、つぎのひ、ちゅうちゅうは、

「さあ、いまだ!」とひとりではしりだします。

ちゅうちゅう、しゅっしゅ!

さあ、ちゅうちゅうの冒険のはじまりです!!

☆バートンの絵本づくりについて☆


バートンは後に語っています。「わたしは、悲しい体験によって、子どもの本を書いたり、 その絵を描いたりするには、子どもたちといっしょに仕事をするのが 一番いい方法であることを知りました」 。
この悲しい体験というのは、初めて作った絵本を3才半の長男アリスに読んでやったとき、途中であきて眠ってしまった という苦い体験のことをさしています。
それ以来、バートンの絵本づくりは、常に自分の子どもたちに 何度も読んでやってはその反応を確かめ、書き直したといいます。


「ちゅうちゅう」は、子供たちと一緒に世に送り出した記念すべき作品の第一号で、機関車が大好きだったアリスのために作られたものです。アリスもうちの息子のように、機関車が大好きで、ごっこ遊びの世界も大好きだったようです。

(ちなみに彼女には、もうひとり息子がいたのですが、 おにいちゃんに捧げられたこの絵本をうらやましがったので、 バートンは、次男マイクのために「マイクマリガンとスチームシャベル」 という絵本を作りました。 )
こどもがいつも遊んでいたおもちゃの世界から考えついたものです。それだけに、こどもの想像の世界をおもわせる、いきいきとした 楽しい作品になっています。


この絵本は、全ページ黒のコンテで描かれています。 動きのある、迫力いっぱいの絵に、どんどんひきこまれていきます。
表紙の裏のページだけは、カラーです。
そこには、ちゅうちゅうが活躍する地域の全体図が描かれていて、私と息子は、その線路をなぞって、ちゅうちゅうのお話をしたり、また、新しいお話を考えたりするのが、大好きです。


また、文字の大きさや書体やレイアウトを効果的に活用しているところもおもしろいです。
バートンは、「絵本作家は、文字もレイアウトも完全に自らの責任で掌中に納めなくてはいけない」、 と信じていたそうです。

この絵本については4歳からという表示をよくみかけます。でも、息子は3歳前から、夢中になって聞き入っていました。電車好き、機関車好きのお子様だったら3歳くらいでも十分に楽しめると思います。
とっても、おすすめです。

原題は Choo Choo です。
Choo Choo というのは、機関車が走るときに出す蒸気の音だそうです。日本でいうと「しゅっぽしゅっぽ」かな。
同じ音を聞いても、それぞれ表現の仕方が違っておもしろいですね~♪

この絵本は、ぜひ原書にトライしてみたいです。

☆ ピン・ポン・バス

竹下 文子, 鈴木 まもる
ピン・ポン・バス

バスに乗る機会の 多い親子には特にお勧め。
乗る機会の少ない親子も、バスに乗ってみたくなる一冊です♪

ブルンブルルン。バスがはっしゃしました。
「おりるかたはボタンをおしておしらせください。」"ピンポン"となるたびにバスはとまります。がっこうのまえ、びょういんのまえ、おてらのまえ、大きな木の下…いろんな人がのって、いろんな人がおりていきます。

バスの運転手さんがとても素敵。
病院の前のバス停では、「みんな早く元気になるといいな」と思い、いつもバスに手をふる子どものいる家の前を通る時は、すこしスピードを落とす。
運転手さんの暖かい気配りに、大人もほっとします。

あたたかな線と色で描かれる絵には、言葉にはなっていない小さなストーリーがたくさんつまっています。
風邪をひいたおじいさんに席をゆずる人や、カーブでばらまかれてしまった荷物を皆が拾ってあげたりしている光景などがそこには描かれています。

丁寧に細かい描写がなされているので、読むたびに新しい発見があります。
息子は、ぴんぽん!というところでは、「ぴんぽん!!!」とさけび、私が読んでいる間中、目を皿のようにして絵に見入っています。

↓これもお薦め☆

竹下 文子, 鈴木 まもる
うみへいくピン・ポン・バス

☆ おおきなきかんしゃ ちいさなきかんしゃ

マーガレット・ワイズ ブラウン, Margaret Wise Brown, Art Seiden, 小池 昌代, アート セイデン
おおきなきかんしゃ ちいさなきかんしゃ



がたん ごとん がたん ごとん。おおきな きかんしゃが ありました。かたん ことん かたん ことん。ちいさな きかんしゃが ありました。

という書き出しで始まる2台の機関車を描いた絵本です。

アート・セイデンのかわいらしく暖かな色に満ちたイラストがとてもキュート。さりげなくお部屋に飾っても素敵です☆
リズミカルな文章が耳に心地よいです。おおきな機関車は「ぼっ ぼっ ぼーっ」、ちいさな機関車は「ぽっ ぽっ ぽーっ」。声に出して読むことでおおきな機関車とちいさな機関車の対比が楽しい。電車や働く車が好きな子どもはもちろん、読み聞かせをしている大人も一緒に愉快になれます。

難があるとしたら、駅名がちょっと難しいこと。
我が家では、いろいろな駅の名前に代えて、読んでいます。

著者は、『おやすみなさい おつきさま』などの作品で世界中から愛されているマーガレット・ワイズ ブラウン。このブログでも紹介した「せんろはつづくよ」も彼女の作品です。
もちろん内容もすばらしいなあ、と思うのですが、彼女は画家にも恵まれているなあ、と思います。実力があるからこそ、いい画家さんが描いているというのもあるのでしょうけども。
マーガレットさんのよさをもっと実感するために、そのうち、原書を読んでみたいな。


bigsmall  ←これは、フランス語版。

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